第1回目は私、松村美奈子が、
心斎橋の早川クリニックを訪問します。
私の母は、筋腫で子宮を取っているので、30代の私もそろそろ心配。でも、なかなか足が向かない婦人科へ、今日は突撃取材をしてみます。窓ごしに御堂筋の並木が美しい、先生のお部屋で、お話を伺いました。すごく緊張していましたが、お会いした途端にホッと安心。すごくやさしそうで話し方もソフト。とても素敵な先生なので、大阪の女性がうらやましくなりました。(松村)
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松村:私は大学の頃とても生理痛がひどくて、旅行や試験に生理が重なるたびに悩まされていました。
そこで母に連れられてクリニックへ行き、処方されるままの薬を飲んでいたんです。あれは多分、中用量のピルだったと思います。すごい吐き気があったので、生理痛が楽になった頃にはもうクリニックへ行かなくなっていました。
今後低用量のピル(※以下OCと表記)を飲みたいと思っても、なかなか婦人科へは行きづらい感覚があります。
どうやって最初のきっかけをつかめば良いでしょうか。 |
先生:OCを一番はじめに処方するに当たって、まず婦人科医がすることは、希望している人がOCを飲んでも良いかどうか、OCに適しているかどうかを判断することです。
医学的なアドバイスやチェックが必要だと言われていますから、ちょっと敷居が高いとは思います。
僕のところでは、はじめは相談にだけ来てもらい、飲む段階にはこんなチェックが必要だとか、気を付けなければいけない項目など内容の説明をします。そうして納得していただいた時点で検査をし、安心して飲み始めてもらいます。クリニックへ行ったらすぐに診察、ということを前提にお考えにならない方がいいでしょう。受付で「相談なんですけれど」と言っていただければ大丈夫です。 |
早川クリニック院長 早川謙一 先生 |
松村:いざ婦人科へ行くとき、特に必要なことはありますか?
たとえば普段の体調をメモしたり、基礎体温を付けておいたりとか・・・。 |
先生:必ずしも基礎体温は必要ありませんが、月経周期や、婦人科的なことで気になっている点などを簡単なメモにして持ってきていただくと、そのメモを一つずつチェックしていくことができるので役立ちます。また、会社の健康診断の結果なども参考にさせてもらっています。 |
松村:先生のクリニックではどのような方が多く受診されていますか? |
先生:僕のところは商業地区とビジネス街の中間なので、比較的若い独身女性が多いです。午前中は、郊外から来る主婦の方、夕方はこの辺りで働く女性など、若い方が中心ですね。職業としては、繁華街も多いので飲食関係の方もいらっしゃいます。 |
松村:先生と患者さんの関係で、気が合う、合わないといったことはありますか? |
先生:それは人間ですからあると思います。僕のところを気に入っていただいた方には、親子三代に渡って来てもらっている方や、婦人科が専門の私に、それ以外のことでいろいろ相談してくれる方などもいます。そこまで行くと医者も患者もお互いうち解けたいい関係になっていると思います。
気楽に何でも相談できる、家庭でいう内科のホームドクターと同じような先生が婦人科にも必要ではないかと思います。 |
松村:先生のクリニックでは、具体的にどんな症状をお持ちの患者さんが多いですか? |
先生:僕のところは主として婦人科ですが、主に腫瘍の癌検査や月経不順やそれに伴う月経困難症などが多いです。それから感染症。おりものが多いとか、お腹が痛いとか、感染症と非常に関係の深い症状がたくさんあります。他にもお勤めしながら出産に備える方への妊婦検診もあります。 |
松村:生理痛がひどい、生理をずらしたいなどが理由で、定期的にOCを飲みたいという方も多いですか。 |
先生:今のOCはほとんど避妊が目的ですが、やはり月経痛や月経量を減らすなど月経をコントロールすることを目的にやってくる方も結構います。この頃では、自分でいろいろ勉強してくる方も多いです。 |
松村:OCをすすめることができる方と、なかなかすすめられない方の違いはなんですか。 |
先生:OCは副作用が少ないと言われていますが、はじめから飲まない方がいい人もいます。
たとえば、腫瘍関係の疾患のある人、代謝性の疾患では糖尿病や高血圧の人、脂肪代謝では肥満傾向の強い人、そして肝機能が悪いなど肝臓疾患のある人が挙げられます。
また、これらの軽い疾患の場合も気を付けながら飲むことが必要です。一番はじめに医師の注意をきちんと受けて、勝手に飲まないということが大切です。 |
松村:OCを飲んでいる女性が結婚して、いざ子供がほしいときに飲むのをやめればすぐに妊娠することは可能でしょうか。 |
先生:可能です。排卵を抑制するのがOCなんですが、卵巣の中にある卵子の数は、女性が子どものときから決まっています。OCはそれを止めているだけなので、飲むのをやめた後、つぎの排卵で妊娠しても何ら影響はありません。 |
松村:OCを飲み始めるためにクリニックへ行った場合、必ず内診を受けなければいけないのでしょうか。
エコー検査だけでも処方してもらえますか。 |
座り心地満点のここで内診? |
先生:初めてのときに内診に抵抗がある人は、そういうことで結構だと思います。でも、この頃では、細胞診によって若い人の間に子宮頸部の異形上皮やその前段階の病変が見つかることがよくあります。だから最初に内診を受けていただくことが原則的ですが、途中からでも内診を受け、細胞の検査をすることをおすすめします。
また、コンジロームなどを作るヒトパピロマウイルスによって子宮頸部の異形上皮が誘導されることも分かっていますので、性生活を送る人なら感染症のチェックもしておきたいところです。勿論、服用する前に妊娠していないことを確認することは前提です。 |
松村:早川先生のご専門は婦人科ですが、特に性感染症関連に関心が深いそうですね。
性感染症は世代的に何歳くらいの方が多いですか? |
先生:やはり10代の後半から20代の前半ですね。ちょっとおかしいと感じたり、パートナー以外の人と関係を持ったりしたことをきっかけに来る方が多いです。20代の後半から30代前半になると、みなさん慎重になりますので、かえって数は少なくなります。また、30代以上になると、癌を心配されて癌検診を受ける方が多いです。20代でもパピロマウイルスの影響をご存じの方は検診を希望することも多くなってきています。 |
松村:性感染症といわれる病気にはどのような自覚症状があるんですか。 |
先生:ひと口に感染症といっても、種類は様々です。
一番多い例から挙げますと、まずクラミジアがあります。皆さん良く耳にすると思いますが、このクラミジアトラコマキスという病原菌は非常に小さなばい菌で、普通の顕微鏡ではなかなか発見できないのでDNAの増幅法で検査します。クラミジアが蔓延している第一の原因は、感染初期にあまり症状がないということなんです。感染してしばらくすると、おりものが増えたり、おりものが臭いだしたりします。子宮頸部に感染して、そこが出血しやすくなり、セックスの後に出血することもあります。さらに進むと子宮内膜炎や卵管炎を起こして、お腹が痛くなるなどの症状も現れます。クラミジアは初期の症状はあまりありませんが、おりものが多くなった時点で分かりますので、ぜひチェックを受けていただきたいです。
そして女性にとってつらい病気に性器ヘルペスがあります。これはヘルペスⅠ型・Ⅱ型というウイルスによって感染し、初期には潰瘍や水疱が多発して大変な痛みを伴います。リンパ節が腫れたり、熱が出たり、ひどい人は頭痛がしたりする場合もあります。さらに不幸なことに、一度Ⅱ型に感染すると、セックスとは関係なしに年に何回も再発を繰り返すといううっとうしい病気になります。
パピロマウイルスによる尖形コンジロームは、そのウイルスの形によっては子宮頸部の異形上皮を引き起こすことがあります。このパピロマウイルスは何年も経ってから子宮頸癌になって最悪命取りになるようなウイルスです。若いから今は大丈夫と思っていると後で取り返しのつかないことになりかねません。
最後にHIV。これも最近、若い人たちの間で、少しずつ蔓延してきています。不特定多数の人とのセックスを避けるなど、充分気をつけていただきたいと思います。 |
松村:HIVもそうですが、パピロマウイルスというのも怖いウイルスなんですね。 |
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先生:だから早めのチェックが肝心なんです。
子宮頸部に異形上皮が見つかっても90%位の方がもとに戻りますけれども、それ以外の方は悪い方に向かいます。レーザーで患部を焼くだけで子宮は温存できる場合もありますが、進行していると子宮を取らなければなりません。若い方では20代で子宮を全摘出するような人もいました。 |
松村:実は、私の母も子宮筋腫で子宮を取ったのですが、そういったものに遺伝性はありますか? |
先生:遺伝性はある程度あります。 |
松村:内診を受けた経験がないので、もう抱えている可能性もあるということですか? |
先生:そうかも知れませんが、子宮筋腫にもでき方がいろいろあります。
とても小さい筋腫でも子宮内膜の近くにできたものだと月経量の増加や月経痛などで分かりますが、外側にできていると、かなり大きくなっていても全く気づかない人がたくさんいます。
内診で腫瘍の大体の大きさを判断していた昔に比べると、いまは超音波やMRIができたおかげで小さな筋腫も見つかるようになりました。でも、筋腫が見つかっても全部が全部、治療しないといけないわけではありません。 |
松村:治療しなくてもいい筋腫もあるんですか? |
先生:はい、ちゃんとフォローをしておけば切るほどのこともないような人もたくさんいます。 |
松村:OCを飲んでいて、筋腫が大きくなる可能性は? |
先生:それは人によりけりです。OCを注意して飲まなければいけない人、あるいは飲まない方がいい人の中には、筋腫の人も含まれています。一方で、筋腫のときに月経量が増えたりしますが、OCを飲むことでそれが軽減することもあります。
根本治療ではありませんが症状を軽くすることができるわけです。
筋腫そのものは悪性ではないので、OCを飲んでいる間に筋腫が大きくなるような傾向があれば、そこで治療を切り替えればいいわけですから、絶対に飲んではいけないというものではないと思います。 |
松村:特に症状がなく健康であっても、女性であれば診察は年に何回か受けた方がいいと思いますが、診察を受けるタイミングはいつ頃がいいでしょう? |
先生:症状が出たときはもちろんですが、たとえばOCを飲んでいる方へは6カ月に一回のチェックをおすすめしています。
その理由の一つに、内診によって病変が分かるということがあります。その結果、異形上皮が見つかってレーザー治療を行うこともあります。そういう方からは「先生、OCを飲んでいて本当に良かった」と感謝されたりもしますよ。
もう一つ大切なのはOCを飲み忘れたり、誤って飲んだりすることで妊娠している場合もありますね、そのとき6カ月を過ぎていると日本では人工中絶ができないんです。年に一回のチェックだと、その時点で妊娠8カ月の可能性もありますから、やはり6カ月に一回チェックしておくことが大切です。 |
松村:健康を守るために自分の体を知る必要があるといわれています。具体的にどのようなことを心がけたら良いでしょうか。 |
先生:皆さん良く勉強されていて、様々な情報を得る機会も多いでしょう。まず自分の体について正しい知識を身に付けること、その上で疑問に思われることがあるとき、気楽に話が出きるかかりつけの婦人科医を作っておくことです。OCを飲んでいる女性なら、パートナーとの関係も大切ですから、男性の健康やセックスに限らず、男性がどんな心理でいるのかを考えておいた方がいいと思います。 |
感激のツーショットです。 |