|
 |
瀧野先生:エルケさんとの最初の出会いは20年位前、彼女がドイツから来日して日本の医師国家試験を受けようとしている時です。試験のために漢字の勉強をしていて、今週は小学一年生、来週は二年生と毎週毎週一学年ずつ進んで、あっという間に国家試験に受かってしまったのには驚きました。
その後はそれほどのお付き合いはなかったのですが、私が患者さんに寄り添った、しかも気持ちを分かち合えるような暖かい医療のできるクリニックを開こうと考えた時に、まず浮かんだのがエルケさんの笑顔。 |
エルケ先生:ほんとに久しぶりに会って、それなのにすぐに考えが一致したのです。それは「今までの婦人科医療は絶対になんとかしなくてはいけない」ということ。あのカーテンとか、患者さんに何の説明もせずに診察が進んで気がつくと全部終わっていて、なにが起きたのか全然分からないような状態。そんなことは女性にとってよくないし、改革するべきだとずーっと考えてきて、私もそういう場を探していたのです。 |
 |
瀧野先生:方向としてはジェンダースぺシフィク、性差医療と訳されてはいますが、アメリカではもう女性も男性もさらに国籍・年齢・エスニックな背景も配慮して、個人個人、その人その人に相応しいテーラーメードの医療という考え方になっています。
私が目指しているのもまさにそれです。手法としては統合的医療。西洋医学を基本に効果が証明されている漢方などの伝統医療や代替医療を取り入れて、患者さんのQOLを高めることに焦点をあわせました。特にここは女性主体のクリニックですから、内科と婦人科は両輪なのです。 |
▲トップへ |
|
|
 |
エルケ先生:たとえばお腹が痛いと患者さんがみえた時、内科的には虫垂炎などが疑われますし、婦人科では骨盤腹膜炎などがあります。そんな場合は患者さんと内科の瀧野先生、婦人科の私と3人で話し合いを持つこともあります。そうすることで検査にしても診断にしてもずっとスムーズに進むのです。 |
瀧野先生:現在患者さんの85%が女性でその7割が20代から30代の方。主に月経痛や月経不順、オリモノが多い、乳房が痛いといった症状で、そのうちの9割が生まれて初めて婦人科に来たという患者さんです。私たち二人とも娘の母親ですし、ここなら受け入れてもらえる、アットホームに話ができると思われるみたいですね。
患者さんは本当に心配なことは直ぐにいいません。恥ずかしくて言えない、お腹が痛いと言って見えても実は外陰部が痒いとか。 |
 |
エルケ先生:実は性的な悩みを話したいけど言えないとか。ともかく婦人科にくる人は内診のことだけで頭がいっぱいでパニック寸前です。
問診表にお腹が痛いと書いてあって他には?と聞くと、「実は生理痛がひどいんです。ほんとはオリモノも多くて」とかいろいろでてきます。ともかく内診は覚悟してきているんだけど、不安の黒い雲が頭一面にたち込めて気がきじゃないんですね。
でもボーイフレンドの話など聞いているうちにだんだん気持ちが解けてきて、そうしたら前もって内診とはこういうことをしますと説明すればリラックスできて、そんな悪い経験にはならないんですね。 |
|
|
|
 |
瀧野先生:従来の婦人科だと、患者さんは自分の悩みや性的な問題を話せる場だとはまったく思っていなかったと思います。 |
エルケ先生:でも本当は診察の前に話したいことがある。女性のサイクルやイロイロなことを聞きたい。
「私の月経はこれで正常ですか」とか不安を話せる場を探しているんですね。 |
瀧野先生:ともかく全ては患者さんとのコミュニケーションが基本です。
それは女性のQOLの向上とも繋がっています。まずは患者さんの訴えに応えること。
ニーズを満たした後に「他に困っていることはないですか?」と尋ねますと、たいてい二つ位はでてきます。それもクリアしてあげることで、本人が思っていた以上にその人のQOLを高めることになるのです。 |
エルケ先生:今までどうしても口にだせなくて自分が特別だと思っていました、ということも多いですね。
尿失禁や性交痛など、やっと話せてほんとにホッとしましたという方も多いのです。 |
|
|
|
 |
瀧野先生:避妊についてもなかなか言えない患者さんもいて、ピル外来はそういう人にも扉を広げた観がありますね。 |
エルケ先生:本来、避妊の相談は一般の診察とは目的が違います。
本人の歴史を聞いた上で本当に飲んだ方がいいのかメリットとデメリットをちゃんと評価した上で、勧めるかどうかを決めるのでとても時間もかかります。そういう意味では専門の科があっていいですね。 |
瀧野先生:日本のカルチャーはまだ、OCを飲むのは特別な人の特別な行為であるという意識がつよいのです。
そんななかでOCを科学的根拠をもって理解してもらうための意識づけ、態度表明として設けたという事もあります。
さらに、自分のカラダを自分でよく知ってコントロールしていくことの契機という意味づけもあって、ピル外来の看板を掲げています。 |
エルケ先生:月経痛で来られて結果的にOCを飲むという方もいます。もちろん月経痛にもイロイロな対処がありますから、ライフスタイルの改善から漢方、鎮痛剤などを試してみたり、その間にホルモンチェックや基礎体温をつけていただいて納得した後で、ピル外来というコースです。 |
 |
瀧野先生:美容系の相談でいらした方、たとえば皮膚の疾患がなかなか治らないという患者さん。
そういう方はとっくに皮膚科にはかかっていて薬は使っていますから、他に食事とか睡眠、化粧品、洗顔、スキンケアの基本などを指導して、体調をきいてみると実は月経不順がひどいと言う。
それでOCを勧めたら、服用後にすっかり肌も綺麗になって体調はよくなるし、問題がいっぺんに解決したということもあります。 |
|
|
|
 |
エルケ先生:ともかく月経不順、月経痛の患者さんはすごく多くて、一方でそういう人たちがあまりにも自分のカラダのことを知らないのは驚きます。問診表に「子宮が痒い」なんて書いた人もいましたし、ほとんどの人は自分の排卵日を分かっていません。
それからもう一つが食事の貧しさ。派遣の人などは特に最近は仕事がハードになっていることもあるのか、ちゃんとした食事をとっていないようです。
それでもサプリメントは飲んでいるので貧血にはなりませんが、月経が来なくなったり他はもうガタガタです。 |
瀧野先生:確かに食の貧しさは問題です。それに環境ホルモンなどの外的環境、さらに近年の日本女性は極端に妊娠回数が減って一生に300から400回も月経をくり返すため、卵巣や子宮が疲れて子宮筋腫や内膜症が増え、同様に月経痛や月経不順が増えていると言われていますね。 |
エルケ先生:そうですね。そういう意味でも卵巣を休ませるOCのメリットは大きいのですが、OCを飲むか飲まないかを決めるのは患者さんです。私たちはそのために必要な情報はすべて提供しますが、最後の判断は患者さんの自己決定にゆだねる、それが私たちの方針です。 |
|
|
|
 |
瀧野先生:女性が自己決定するというのは、ある年代以上の人にとっては難しいことのようです。そういうトレーニングを受けていないということもありますが、やはりその力を磨くことが大切。
たとえば15分ならその間に自分の状態を客観的に相手に伝えるように整理することとか。患者さんへの情報のインプットは私たちの役目、患者さんはそれを判断して意思をアウトプットする、それでこそお互いのパートナーシップが築けるのです。 |
エルケ先生:もちろんゆっくりお話を聞くということも大事です。今まではともかくお医者さんが忙しすぎて、患者さんの話を聞く時間がないのが普通。だから患者さんもなんだかカラダの調子が悪いぐらいだと、どこへ行ったらいいか分からないでいる間に悪化するということもありました。 |
瀧野先生:女性外来というのは、そういうケースをなくすことにも繋がりますね。 |
エルケ先生:そうですね。病気まではいかないけれどなんか体調が・・・・という時、問題の出発点を見つける相談相手という役割もあります。でも、ただカウンセリングだけでなく問題解決へ導くことも重要です。ですから、女性外来を選ばれるときのチェックポイントはそこ。ただ話を聞くだけではなく、問題を解決する指針をちゃんと示してくれる所を選ぶことですね。 |
瀧野先生:ただ風潮だから開きましたではなく、ちゃんと意識を持って女性外来をやっている所はだいたい何かウイメンズヘルスのネットワークにはいっていますから、そこも注意されるといいですね。 |
|
|
|
 |
エルケ先生:そうですね。私たちが目指しているのは女性外来を入り口とした全人医療です。フィメールヘルスケアに関わる産婦人科は、骨盤の周りだけではなく内科的観点からも全体をみるべき。女性特有の疾患を含めてカラダとこころの全体を診るバランスのとれた医療を実現したいのです。 |
瀧野先生:そう、そのためにはホメオパシーやアロマテラピーなども取り入れ、結果的にその人のQOLを高めることが目的。私たちが掲げている医療と美容と健康のサービス提供とは、そういうことだと考えています。そのために私たちも良いものはどんどん吸収して患者さんの選択肢を増やしていきますから、患者さんもそれを選ぶ目を磨いてくださいとお願いしたいですね。 |
 |
|
|
|
 |
|
うちは完全予約制ですから、皆さんまず電話をしてこられますが、もうその時から相談されることが多いんです。
「実はこういう症状があるんですけど何科にかかったらいいですか?」とか「生理痛がすごく苦しいんだけど、他にそんな人はおられますか?」とか。そういう時は「一度いらしていただいて、それからあなた様にあった治療法を考えて行きますから」とお答えします。 |
ともかく安心して来ていただけるステップとして、最初の電話の応対はとても大切ですね。
それから多いのが、ほんとに恐る恐る「内診は大丈夫ですか?」と訊かれる方。
「必要があればさせていただきますが、どうしてもという場合は他の方法を先生とお話いただくこともできます。いずれにしても、その事は事前に先生にお伝えしておきます。」と言うとだいぶホッとされます。
私も生理がきつくて、でも婦人科は特別なイメージがあって、やっと行った時はもうドキドキ大変でした。同世代の患者さんが多いので、その辺の気持ちを分かって差し上げられるということもあります。
最初はすごい抵抗があってこられた患者さんも、先生と話して医学的な説明をキッチリ聞けば、「この先生なら内診を受けてみようかな」という風に大体がなられます。
私は瀧野先生と加藤先生に絶対的信頼感がありますから、まずは一度来ていただいたら大丈夫という確信をもって、患者さんを先生につなげるまでのガイド役だと思っています。 |
|
|
それから先生に言えないようなことも、採血のときなどにポツリと言われたりすることもあります。「いつも笑っているけど、実はイライラしてどうしていいか分からない」とか「STD(性感染症)をどう相手に言ったらいいか分からない」とか。
必要なときは診察前に情報として先生に伝えたりの役目もあると思います。
このクリニックは思春期から老年期までの女性のケア、外側の美容から内側のこころのケアまで全人医療的なアプローチが特徴ですから、肌のトラブルや化粧品の相談もあって、ニキビ・シミ・シワなどの悩みにアドバイスしたり、美容的なサポートをしています。
たとえばニキビですと、男性の毛が生える場所、首とかアゴにできる場合はホルモンバランスのくずれが原因ですから、OCを勧めることもあります。 |
|
|
このクリニックの前は総合病院の内科にいました。救急から終末を看取ること、死後の処置までほんとうに命に関わることの毎日で、そこで人のこころに触れるケアを勉強できたと感じています。
私自身も人好きで、気持ちが触れ合うことが何より嬉しいし大事にしたいと思っています。
こちらにいらっしゃる患者さんは命に関わるということはめったにありませんが、QOLは確実に下がっています。他の人から見たらそうではなくても、本人は辛くてシンドくて生活に支障をきたしているのなら、どうにかして毎日を充実させて快適に過ごしてもらうために、私たちに何ができるのかを考えます。
大きな病院でたいしたことがないと言われた、という患者さんも多いんです。でも本人が痛いと言ったら絶対に痛いし、シンドイと言ったらシンドイんです。そういう主観的部分、本人が表現しているその自覚症状を和らげるために、何ができるかということだと思うんです。
数字やデーターではなくまず本人の訴えを注意深く聞いて真面目に付き合い、そして原因をつきとめることの大切さを、瀧野先生も加藤先生もいつも仰っておられます。
ほんとうにここはインフォームドコンセントがすごくされている所なんです。両先生ともほんとうに丁寧に説明をされるし、キッチリ納得のいく治療を患者さんと一緒に考えて、選んでもらえるクリニックだと思います。理論的にもカラダでも共感してあげられる、共感とインフォームドコンセントのクリニックです。 |
|
|
こんな症状は自分だけだと思って言いだせないでいたことを、思い切っていってみたら皆も悩んでいた、ということがすごく多いんです。乳首の痒みや痛み、便秘、痔(若い人もイッパイいます)、性交痛、月経痛、陰部の痒み、オリモノの悩みも増えています。特に最近は、クラミジアの方が多くて心配です。あまりにも軽く受けとめ過ぎているようなんです。一般の方はクラミジアが不妊症の原因にもなると言うことを知らないのかもしれません。
加藤先生のお話では、クラミジアに感染しても気がつかないでいるうちにお腹に入って、しくしく痛むようになることがあります。下腹部痛がつづいている内に卵管が詰まって、それが不妊の原因になるんです。 |
|
|
同世代の女性にぜひ言いたいのは「なんとなく痛いとかなんとなく変だと思ったら、それはカラダの注意報ですから放っておかないで検診を受けてください」ということです。
子どもを産む女性のカラダがいかに敏感で繊細で、危険なことをした時にリスクを背負うのは女性だということを理解して、自分で自分を守るんだと意識してほしいと思います。
そして辛い症状があったら、その症状がキッチリ改善されるまで諦めないで、自分にぴったり合う治療法に合うまでネバることも大事だと思います。
私たちも患者さんに選んでいただける方法を、なるべく沢山そろえていきたいと思っていますから。 |
 |
|
|