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年末の体調不良と、若い頃よりもひどくなった月経痛をきっかけに、産婦人科へ行こうかなと思いました。でも、なかなか消えない抵抗感・・・。今日は徹夜明けですが、婦人科を上手に使いこなす方法を伺いに、八田先生を訪ねました。ご自分の経験をもとにした、はたらく女性の立場に立った温かいアドバイスに、なんだか頑張る勇気がわいてきました。(氏家) |
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氏家:お腹が腫れている感じの月経痛が隔月くらいであったので、健康診断のオプションで診てもらったんです。そうしたら「大丈夫ですよ」といわれただけで問題なし。反対に、心配していなかった胸のエコーで軽い乳腺症と言われました。 |
先生:いま乳腺症というのは20代、30代でとても増えています。癌ではないですし、将来的に癌になる可能性も低いです。おっぱいが腫れているということですが、それは月経のアンバランスによるものや体質的なもの、それから欧米化した動物性の食事の影響もあるかもしれません。また環境ホルモンの影響も増えていますね。癌になる可能性が低いとはいえフォローは必要です。月に一回でも、お風呂でのセルフチェックをおすすめします。とくに月経の7日から10日目に触ってみて、硬くなっていないか、くぼんだり赤くなったりしていないか調べるといいです。そしておかしいと思ったら、乳腺の専門医のところで癌かどうか、悪性かどうかを診てもらうことです。大きな病院でなくても乳腺を専門にやっている方もいますよ。 |
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氏家:毎年、健康診断のオプションなどで診てもらったほうがいいですか? |
先生:乳腺の場合は専門医のところで一年に一回、20代30代の方はエコー検査、40歳以上でしたらマンモグラフィーでちゃんとチェックしていくことですね。乳癌は、今後女性の癌のトップになるといわれていますから。 |
氏家:セルフチェックでアレッ変だなと思ったときも乳腺症か乳癌か自分ではわかりませんよね。 |
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先生:ほとんどが乳腺症ですが、30代半ばを過ぎると、たまに乳癌の方がいらっしゃいます。年とともに癌化率はあがりますからチェックしてほしいです。胃や子宮と違って触って確かめられるところだから月に一度、月経が終わってすぐ、月経の7日から10日目くらいに触る、これを習慣にしてもらいたいですね。だからOC(低用量ピル)を飲んでいる人へは毎月一回やってごらんとアドバイスしています。自分のおっぱいに注意が向いているから初期の乳癌も見つかります。 |
実際、OCを飲んでいる2人に、乳癌を見つけました。初期でしたから、手術できちっと治していまはすっかり元気です。それもOCを飲んで定期的に婦人科にかかっていたから、そして私に接触する機会があったからと、本人はおっしゃっています。だから今も月に一度は顔を見せてくれます。 |
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氏家:健康診断にオプションをつけたきっかけのお腹が腫れている感じの月経痛については、なんともないといわれましたが、痛みはまだ残っていました。そんなときもう一歩踏み出して先生に聞くにはどうしたらいいですか。 |
先生:一カ月おきに痛むというのは、そのときの体調や疲れ方、気温の変化、精神状態などいろいろな要因で起きていると思います。本当に筋腫があったりすると、毎月痛いですからね。月経の度に、うずくまったり、流れるような出血があったり。 |
どうしても心配な場合は、セカンドオピニオンとして知り合いのドクターを紹介してもらうことです。先生のすすめる他の先生にもう一度診ていただくことは別に失礼ではありません。もしいやな顔をされるようなら、それまでの先生だと思います。私なら、そういわれるとすごく自信になります。たとえば、卵巣がはれていて手術が必要だと言われたら、患者さんは不安になりますよね。そんなときは別の病院を紹介して、そこでも診てもらうようすすめます。自信がないわけではなくて、患者さんが、別の先生にかかって私と同じ意見なら安心できるし、別の先生の意見を聞くことも大切だと思うからです。ドクターにとって、患者さんにスッキリしてもらうことも仕事ですから。 |
氏家:おばが子宮内膜症で、母が子宮癌でした。自分も家系的に子宮系の病気になるんじゃないかと思って30代を前に検診を思い立ったのですが、どのくらいの頻度で診てもらったらいいですか? |
先生:子宮系といっても、いろいろな病気があります。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮癌などです。遺伝との関係ですが、私は、筋腫にはあると思います。私もそう、母もそう、とおっしゃる方は多いです。ただ子宮癌に関しては、今は遺伝性ではなく、ヒトパピロマウイルスによるウイルス感染といわれています。松戸市では、子宮癌検診は20歳以上が適用になりました。20代でも進行した癌や癌になる前の病変が見つかることが増えているからです。セックスをする年齢が早くて、回数を重ねている方ほどこうした傾向にあります。セックスの経験がある方は年齢にかかわらず、一年に一回は検診を受けたほうがいいですね。あと内膜症に関してですが、これに遺伝性はないと思います。環境ホルモンや排気ガス、ダイオキシンが原因だといわれていますが、実際のところわかっていません。だから月経痛がひどかったり、何かトラブルがあるようなら一度診てもらったほうがいいでしょう。 |
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氏家:それでも、婦人科って行きにくくて。ちょっと調子が悪いだけで行ってもいいものなんでしょうか。 |
先生:本来、婦人科はそういうところであってほしいと思います。婦人科というのが特別にあるわけですから、女性というのはいろいろなトラブルが起きてもおかしくない性なんです。私は場合によって、内科でもあり、外科でもあり、小児科でもあり、精神科でもあり、という風にある程度幅を持たせてやっているつもりです。ひとつの突破口というのかな。だから「女性なので婦人科に来てみましたが、何か病気はないですか?」でいいんです。それで、あなたは内科へ行ってごらん、または、うつみたいだから精神科に行ってみようかとか、婦人科からいろいろ派生してもいいと思います。そういう外来をつくる取り組みも最近ありますが、保険診療との兼ね合いで自費診療になっていたりします。私は、予約をとって何万もかけてというより、お待たせするかもしれないけれど気軽に来ていただいて、ちょっとお話して、おなかの中を診てもらうだけでいいかなと、そんな感じでやっています。 |
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氏家:最近は子どもができにくい夫婦が多いようですが、私も将来子どもがほしいと思ったときにできるかどうか調べられますか。 |
先生:不妊症というのは、子どもをつくる意思があっても2年間できないカップルをいいますが、昔は10組に1組だったのが、最近では10組に3組と非常に増えています。不妊のひとつの病態としては、子宮内膜症があります。子どもができなくて困っている女性の3割くらいに内膜症がありますね。昔のように妊娠・出産、授乳をくり返していた時代にくらべて、今のように妊娠しない期間が長くなり、排卵だけがくり返されると、子宮内膜症は進んでいきます。「私、子どもができるカラダでしょうか?」といった不妊症についての問い合わせは多いです。やってみないとわからないじゃない、と私はよく言いますが、ブライダルチェックとして、子宮の状態、癌検査、性病検査などを行うことはできます。保険適用外で1万円前後のお金がかかりますけれど、やってみるのはいいかもしれません。でも、相手あってのことですから、まずはトライしてみること。そして2年待ってはじめて病院へ行くのではなく、3ヶ月でできなくて受診してもいいし、将来できるかどうか知りたい場合はすぐに行ってもいいと思います。
また余計な検査をしないですむように、日ごろから基礎体温や体調のカレンダーをつくっておくといいでしょう。こちらとしても患者さんを知る情報源として大変役に立ちます。 |
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| 氏家:月経の10日前くらいになると、もうすぐだなと思うくらい毎回頭痛がありますが。 |
先生:頭痛は今、10人に1人が持つといわれています。いくつかパターンがありますが、偏頭痛や月経前の頭痛に関してはPMS(月経前症候群)といわれ、鎮痛剤が効かないケースもあります。原因は、黄体ホルモンの影響による血流障害ではないかと思います。
頭痛の方へのアドバイスは、早く寝ること。あとは軽い運動やアロマ、少量のお酒もいいかもしれません。忙しくてなかなかそうも言っていられない人には、OCをすすめています。 |
氏家:OCには太るっていうイメージがありますが。 |
先生:中用量のピルが出たとき、私も飲みましたけど、2、3キロ太ってパンと張ったような感じでした。OCは低用量ピルのことで、ホルモンの含有量が少ないから、体重増加はないし、肌もきれいになりますよ。まあ、いいことばかり言ってもしょうがないですけど、体重増加はないと思います。ただOCを飲むことでお食事が美味しくなることはあります。それで知らないうちにご飯を多くよそったり、おかずを余計に食べたり、お菓子をつまんだりして、結果的に体重増加するというのはあると思います。ですからOCを飲む方には、お食事を気をつけてごらんと言っています。まあ、最近はやせている方が多くて、どちらかというともう少し太ったほうが、体力もつくし、女性としての魅力も増すと思いますけれど。 |
氏家:2日徹夜で1日お休みという感じのハードな仕事をしています。でも人が少なくて休めません。月経痛も頭痛薬で抑えて、そのせいで胃を悪くして胃薬を飲んで、という具合で悪循環の繰り返しです。 |
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先生:男並以上の仕事量なら、女性の機能を抑えていかないと辛いですよね。昔は妊娠したらもういい、という感じだったけど、今は30代40代になっても男以上の仕事を求められる、だからこそOCを上手に使っていけばいいと思うんですけどね。 |
氏家:忙しさからか、下痢とおう吐をくり返す時期があって病院へ行くと、いつも「君いつもこの年末時期来るね」と抗生物質をくれます。それで「大丈夫、大丈夫。冷えたんじゃない?」とそれも毎年言われるだけ。不安だといったら、婦人科をすすめられましたが、症状がなくなったのと忙しいのとで結局行かずじまい。一体なんだったんでしょう。 |
先生:免疫力の低下でしょうね。私も経験があります。吐いて下痢して血も吐いて。病院ではO157かと疑われて隔離されたんですが、なんてことはない、実は風邪でした。点滴して寝て、3日間絶食して、なんだったのかと思ったら風邪。ひどい話でしょ。それくらいその時期はハードワークをしていました。あなたと同じです。仕事が立て込んでいたり、一年の疲れがぐっと来る頃だったのかしら。私はいつも春なの。もし決まった時期にくるようなら、出来るだけ早く寝るようにすること。睡眠ほどいい薬はないと思います。難しいとは思うけど、仕事が出来なくなる前に休みをとるしかないかな。ムリすると5年10年後に響くから、ある程度のところで休むか、あとは妊娠しちゃうかね。 |
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氏家:うちの会社、産休がないんです。産む人はみんな辞めます。
古い体質の会社で、雇用均等法なんて無視。女性は男性よりお給料が低いんだと、当たり前のように言われますし、出世も男性優先なんです。 |
先生:産休がない!みんな辞める!それって結局男しか仕事するなってことじゃない。妊娠・出産というのは、女性にしかできないこと。1年間同じ仕事をしてキャリアアップするのより、妊娠・出産、そして子育てを経験して復帰したほうが、人間が大きくなると思うんですが、それがなかなかわかってもらえません。女性が出産できる時期は限られています。仕事は挽回できても、妊娠・出産の好機は挽回できません。体外受精のおかげで、40歳を過ぎても妊娠できるようになりましたが、子育ての問題もあります。本当になにが幸せか、5年10年後を見て考えてみるのもいいかもしれません。そして日本はもっと、女性が子育てしながら、同じ部署にきちっと復帰できるようなシステムをとるべき。女性もレベルが上がっているし、そうしたキャリアを企業も求めている時代ですから。 |
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氏家:キャリアがあがり、ちょうど仕事が面白くなってきたときに出産年齢が重なるので本当に悩むと思います。とりあえずカラダをこわさずに頑張るしかないという場合、OCというのは月経痛を抑えたり便利なツールといえるでしょうか。 |
先生:OCは、妊娠と同じ状態をつくり、無駄な排卵をさせないで月経を起こさせるわけです。月経のトラブルも楽になるし、内膜症がある場合はその進行を止めることもできるともいわれています。また、飲むのをやめれば、すぐに妊娠できるカラダにもどるわけだから、計画的に妊娠することもできます。キャリアアップを望む方にはすすんで飲んでもらいたいですね。出産=退社といった古い慣習ののこる日本では、OCは働く女性の選択肢の一つとしてとても有用だと思います。 |
氏家:でも、薬局に行って気軽に買うのではなく、わざわざ病院で診察してもらって処方してもらうのに抵抗がちょっとあります。 |
先生:私のところでも、OCがほしいだけの人の血圧測定、採血、性病の検査はあまりしていません。婦人科のマニュアルには、そうした検査が必要だとありますが、私は本人の意見や希望に沿って、せっかくだから癌の検査くらいしようかとか、せっかくだから性病の検査くらいしようかという感じでやっています。薬を買いに来る感覚で受診していただいて、そのついでに検査を受けてもらうくらいだからお金も何万もかかりません。 |
氏家:先生がOCを処方される患者さんの目的は、やっぱり避妊が多いですか。 |
先生:避妊はもちろんですが、月経不順や月経痛の改善を求めて使っている方もいます。年齢も10代から40代と幅広く、ホルモン補充療法(HRT)的に更年期障害の方にもOCを使っています。飲まないといつ月経が来るのかわからなかった46歳の患者さんは、飲んでいるときの安心感からやめられないといっていました。その方は、月経不順と筋腫があったのですが、どうしても手術はさけたいというのでOCをすすめて飲み始めました。いつやめたらいいか聞かれましたが、私は血が出なくなったらやめなさいといっています。閉経したらという意味ですが、それほど厳密ではなくてもいいと思います。うちでは56歳になっても飲んでいる方もいますからね。ある程度の出血がある場合は、ホルモン補充療法として飲んでもらっています。 |
氏家:先生が仕事をはじめた頃と今とでは、女性の抱えている問題は変わってきましたか? |
先生:お嫁に行けばいいという時代にくらべ、いまは女性がキャリアをもって仕事に携わるようになっています。でも一方で、女性として早く子どもを作らなくちゃという気持ちも根強くあって、そのギャップに驚かされます。私は仕事だけでいいという方は少ないんですね。やっぱりどこかで妊娠したいと思っていますね。 |
氏家:社会的にもカラダへの負担が増えて、もっと日常的なケアが必要な女性が増えていると思います。でも、もっと婦人科が身近になるといいですね。 |
先生:そうですね。一生懸命頑張ってやる人というのは心の風邪で、うつ病になりやすいと思うんです。ちょっと寝たり、美味しいものを食べたりしたら治っちゃうこともあるけれど、精神的に落ち込んで、ひどくなる方も増えています。私のところも、午後いらっしゃる方は、どちらかというとメンタル部分がこわれちゃってる方が多いですよね。お話を聞いてあげるだけで結構良くなって、元気になって帰っていきます。思いっきりドンと置いていくので、私の方がたまに調子悪くなりますけど。
そんなときは焼肉にいきます。しゃぶしゃぶでもいいし。やっぱり運動したりして、私自身もストレス発散しないといけないので、自分なりの趣味を見つけてやっています。 |
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氏家:先生もセルフケアをしてらっしゃるんですね。。。 |
先生:20代は本当に大変なのは良くわかります。私も本当に昼夜なく24時間仕事をしていました。寝る時間も、曜日の感覚もなくやっていました。若い頃はそうやって頑張りがきいたのですが、いま同じ仕事を私がやったら一日でダウンですね。だから無理はしないでほしい。月経前だとイライラするし、頭痛はするし大変です。でも女性というのは素晴らしい動物で、その月経前のイライラが情熱を燃やせるパワーになったりします。ある作家は月経前だとガーッと書けるけれど、スッキリしてしまうと書けなくなったりするそうです。また、男性から見て月経前のイライラがかわいい、すごくキュートだという人もいます。月経による起伏があるのも女性特有のことだから、それをポジティブに受け止めるかどうかです。月経は決して悪いことではなく、自分が妊娠できることを確認するための証として重要なんだと思います。 |
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氏家:とてもいいお話を今日はありがとうございました。 |
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